結局、寝床に入ったの8時前。
飲んだ発泡酒は1.7L。500と350を2本ずつ。ちと多い。
何度起こしても起きない嫁を待ってる間、退屈なんでニュース視ながら飲んでまう。
イカンなーと思いつつ飲む酒は微妙な味わい。
目が覚める。1時間半単位。レム睡眠のリズム。
「まだ9時半じゃねえか……」
「まだ11時じゃねえか……」
「まだ13時ｈ…………あったまきた、起き上がってメンテやったるわ！！」
キレた禮人さん。
頭は寝ぼけている。とりあえず1時間、ネットをチェックする。
チェックして、おもむろに立つ。
ダイニングチェアの調整とか組立とかで、ドライバーとアーレンキーが2階。
ドライバーはメンテに使わんけども、上に置いてもしゃあないんで。
ついでに、猫が飛び出してこないよう、ドアの口を狭めておかねばならんし。階段駆け下りると正面が勝手口なんで、自転車の出入庫時に特攻かけられたら脱走を防げん。
自転車を出す。触るのがどれくらいぶりなのか、もはや思い出せん。すくなくとも1年は触ってねえ気がする。自転車乗りとして生きている資格がない。
そもそも、買ってから10回乗ったかどうかという、自転車に対する虐待行為。
メンテしないのは養育放棄。重罪。
じわじわと気圧が落ちてくタイヤに触れるたび、すげえ罪悪感を覚えてた。
現状で最低限のメンテ。予想通り小一時間。いつもだいたいそんな感じだから。
もうね、汗だく。眼鏡のレンズに汗がしたたり落ちる。
タイヤに空気入れるのが体力的にキツイんだよ。ママチャリと違って高圧タイヤだもん。空気入れた後タイヤをノックすると、鉄筋みてえな音がするんだぜ。
最後の方なんか、体重かけて全力で押し込んでるもんな。それくらい入れねえと、俺は体重があるからタイヤの接地面が多くなり、摩擦が増えて走りにくい。タイヤも傷むし。
あとはまぁ、チェーン弄って手が真っ黒になるかな。これがイヤならスポーツ車オーナーには向かん。
自分の自転車は自分でメンテ。出来るとこまでで良いが。うかつに手を出して後悔しそうな部分（シフトワイヤーの交換とか）はプロに任せましょー。
無論、失敗に失敗を重ねてマスターするって選択肢もあるし、実際にそうして自力でやってる奴らは多いよ。
サドル高上げたんで、要テストラン。
低いと漕ぎにくくて脚も疲れる。適切な高さでなきゃイカンのだ。
案外高いぞ。てか、ハンドルの位置が低いんで、脚が長い奴はハンドルの方が低くて前のめり。
基本、ロードレーサーなんかはそういう設定するんじゃねえかな。パーツ取っ替えて体に合ったバランスに。
おぢさんはそこまでいきません。短足さんなので。それでもけっこう上げてるぞ。自転車屋に「思ったより高いね」とか言われる。
短足だが気にすんな。自転車のサイズは子供用だｗｗｗ
XL、M、S、XS、XXS。俺XXS。この規格があるのはGIANTの一部のシリーズだけなのだよ。
それにGIANTには東日本大震災支援の大恩があった。だからRX3に決めたんだが。
装備は右膝にサポーター、カーゴパンツの右裾留め。指切りグローブ。
クロスでレーパンとか、ぜってー着てる奴いねえから。つか、ジャージとかレーパンとかきらいだから。落車で擦り傷とか最悪。多分骨折より擦り傷の方がきらいだ。
グローブ着けるのはしっかり握れるのと、グリップの劣化防止。手の脂で傷むから。
相変わらず漕ぎ出しは重いな；
が、そこを過ぎればスピードの乗りは良い。『走るクロスバイク』がコンセプト。通常のクロスよりスピードが出る設計。
でも俺チキンだから50km/hとか出せないｗ 筋力ねえし。25km/hで許してｗｗ
完全にスペック高すぎ。もったいねえ。
軽く走ってきたが、問題視するほどのトラブルはなかった。
瞬間最高25km/h、巡航15km/h。ママチャリレベルだが、まあ上出来。
最高30km/hオーバーまで行けそうだったが、裏道たぁいえ、やっぱし一般道は怖ぇんで。
左の側副靱帯に若干の疼痛が出たかな。右の靱帯ばっかかまいすぎて、失念してた。
困ったことに先日から、左膝の外側に問題が発生している。1個所壊すと、あっちもこっちも壊れてくる。困ったもんだ。
たったひとつ大問題があった。
たかが4km弱の距離で、息があがるやら腿が張ってくるやら、泣けるほど脆弱。
体力・筋力は靱帯傷める前の1/10以下。
ややお気楽にとはいえ、60kmくらいとか街を流してた俺が、4kmほどもまともに走れんとは……！
なんかもう、膝から地面に崩れて泣くレベル。膝壊してるからやらねえけど。
くっそ、絶対取り戻してやるからな！！
漕ぐべし！漕ぐべし！漕ぐべし！でもって体力戻して体重落としてやるんだ。
だが『黄金の太もも』は辞退しとこう。シフト軽くしてケイデンス上げよ〜。
ばーちゃんに「何だ、その太もも！」と言われ、自転車屋のアニキに「シフト落としてケイデンス上げた方が良いですよ……」と言われ、俺の黄金の太ももは不評だった。
ふと思ったんだが。
俺、他のFtMさん達が「筋肉鍛えてえ！」って叫んでんのをみて「べつに筋肉ごとき、ムキになって鍛えんくてもいーじゃん」と思ってたんだが。
違うな。今判った。俺はガッチリと育った自分の筋肉を鏡に映してほくそ笑んでたぞ。
黄金の太もも、引き締まったふくらはぎ、硬い二の腕……ニヤニヤしてた。
やはり男子に筋肉は必要だ。これは男のアイデンティティーだ。
おっし、靱帯フォロー出来るくらいの筋肉を回復したら、シフト1段上げたる！
基本5速でバリバリ疾走じゃあーーーー！！
——無茶すんな、54歳。
メンテに3日分、テストに1日分、ガッツリと気力使い込んだ。
だが、やらなきゃならなかったことだ。
毎日「やらねば」「あぁ、出来んかった……」を繰り返すと、どんどん自分がいやになる。
「どうせ俺なんかもうダメなんだよ……」と腐る。
「自転車手放しちまおうか……」と気弱になる。
弱ってるよ、俺。たしかに弱ってる。軽うつだし、睡眠ガタついてる。
だからやらなきゃならなかった。
「やった、出来た」って、自分を認めてやるために。こんな些細なことでも良いから『長期にわたった懸案を解決した』って事実が重要だった。
多分、以前みたく毎日決まった時間に走りに出て、40km走ってくるとか、そういうことは困難だと思う。いきなり40は走らんにしろ、毎日出るってのは難しいだろうな。
んでも、やれる限りはやりてえと思う。
俺、やっぱし自転車すきだわ。
あすは天気悪そうだし、無気力に過ごそう。どうせ4日分前倒しで使い込んだんだ、動こうと思ってもエンプティさ。
情けねえけど、これが現実なのよね。
それでも、たまには無理してみたくなるんだよ。
久々に満足な1日だった。今夜の発泡酒はさぞ旨かろう。
自転車ええよ〜
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飲んだ発泡酒は1.7L。500と350を2本ずつ。ちと多い。
何度起こしても起きない嫁を待ってる間、退屈なんでニュース視ながら飲んでまう。
イカンなーと思いつつ飲む酒は微妙な味わい。
目が覚める。1時間半単位。レム睡眠のリズム。
「まだ9時半じゃねえか……」
「まだ11時じゃねえか……」
「まだ13時ｈ…………あったまきた、起き上がってメンテやったるわ！！」
キレた禮人さん。
頭は寝ぼけている。とりあえず1時間、ネットをチェックする。
チェックして、おもむろに立つ。
ダイニングチェアの調整とか組立とかで、ドライバーとアーレンキーが2階。
ドライバーはメンテに使わんけども、上に置いてもしゃあないんで。
ついでに、猫が飛び出してこないよう、ドアの口を狭めておかねばならんし。階段駆け下りると正面が勝手口なんで、自転車の出入庫時に特攻かけられたら脱走を防げん。
自転車を出す。触るのがどれくらいぶりなのか、もはや思い出せん。すくなくとも1年は触ってねえ気がする。自転車乗りとして生きている資格がない。
そもそも、買ってから10回乗ったかどうかという、自転車に対する虐待行為。
メンテしないのは養育放棄。重罪。
じわじわと気圧が落ちてくタイヤに触れるたび、すげえ罪悪感を覚えてた。
現状で最低限のメンテ。予想通り小一時間。いつもだいたいそんな感じだから。
もうね、汗だく。眼鏡のレンズに汗がしたたり落ちる。
タイヤに空気入れるのが体力的にキツイんだよ。ママチャリと違って高圧タイヤだもん。空気入れた後タイヤをノックすると、鉄筋みてえな音がするんだぜ。
最後の方なんか、体重かけて全力で押し込んでるもんな。それくらい入れねえと、俺は体重があるからタイヤの接地面が多くなり、摩擦が増えて走りにくい。タイヤも傷むし。
あとはまぁ、チェーン弄って手が真っ黒になるかな。これがイヤならスポーツ車オーナーには向かん。
自分の自転車は自分でメンテ。出来るとこまでで良いが。うかつに手を出して後悔しそうな部分（シフトワイヤーの交換とか）はプロに任せましょー。
無論、失敗に失敗を重ねてマスターするって選択肢もあるし、実際にそうして自力でやってる奴らは多いよ。
サドル高上げたんで、要テストラン。
低いと漕ぎにくくて脚も疲れる。適切な高さでなきゃイカンのだ。
案外高いぞ。てか、ハンドルの位置が低いんで、脚が長い奴はハンドルの方が低くて前のめり。
基本、ロードレーサーなんかはそういう設定するんじゃねえかな。パーツ取っ替えて体に合ったバランスに。
おぢさんはそこまでいきません。短足さんなので。それでもけっこう上げてるぞ。自転車屋に「思ったより高いね」とか言われる。
短足だが気にすんな。自転車のサイズは子供用だｗｗｗ
XL、M、S、XS、XXS。俺XXS。この規格があるのはGIANTの一部のシリーズだけなのだよ。
それにGIANTには東日本大震災支援の大恩があった。だからRX3に決めたんだが。
装備は右膝にサポーター、カーゴパンツの右裾留め。指切りグローブ。
クロスでレーパンとか、ぜってー着てる奴いねえから。つか、ジャージとかレーパンとかきらいだから。落車で擦り傷とか最悪。多分骨折より擦り傷の方がきらいだ。
グローブ着けるのはしっかり握れるのと、グリップの劣化防止。手の脂で傷むから。
相変わらず漕ぎ出しは重いな；
が、そこを過ぎればスピードの乗りは良い。『走るクロスバイク』がコンセプト。通常のクロスよりスピードが出る設計。
でも俺チキンだから50km/hとか出せないｗ 筋力ねえし。25km/hで許してｗｗ
完全にスペック高すぎ。もったいねえ。
軽く走ってきたが、問題視するほどのトラブルはなかった。
瞬間最高25km/h、巡航15km/h。ママチャリレベルだが、まあ上出来。
最高30km/hオーバーまで行けそうだったが、裏道たぁいえ、やっぱし一般道は怖ぇんで。
左の側副靱帯に若干の疼痛が出たかな。右の靱帯ばっかかまいすぎて、失念してた。
困ったことに先日から、左膝の外側に問題が発生している。1個所壊すと、あっちもこっちも壊れてくる。困ったもんだ。
たったひとつ大問題があった。
たかが4km弱の距離で、息があがるやら腿が張ってくるやら、泣けるほど脆弱。
体力・筋力は靱帯傷める前の1/10以下。
ややお気楽にとはいえ、60kmくらいとか街を流してた俺が、4kmほどもまともに走れんとは……！
なんかもう、膝から地面に崩れて泣くレベル。膝壊してるからやらねえけど。
くっそ、絶対取り戻してやるからな！！
漕ぐべし！漕ぐべし！漕ぐべし！でもって体力戻して体重落としてやるんだ。
だが『黄金の太もも』は辞退しとこう。シフト軽くしてケイデンス上げよ〜。
ばーちゃんに「何だ、その太もも！」と言われ、自転車屋のアニキに「シフト落としてケイデンス上げた方が良いですよ……」と言われ、俺の黄金の太ももは不評だった。
ふと思ったんだが。
俺、他のFtMさん達が「筋肉鍛えてえ！」って叫んでんのをみて「べつに筋肉ごとき、ムキになって鍛えんくてもいーじゃん」と思ってたんだが。
違うな。今判った。俺はガッチリと育った自分の筋肉を鏡に映してほくそ笑んでたぞ。
黄金の太もも、引き締まったふくらはぎ、硬い二の腕……ニヤニヤしてた。
やはり男子に筋肉は必要だ。これは男のアイデンティティーだ。
おっし、靱帯フォロー出来るくらいの筋肉を回復したら、シフト1段上げたる！
基本5速でバリバリ疾走じゃあーーーー！！
——無茶すんな、54歳。
メンテに3日分、テストに1日分、ガッツリと気力使い込んだ。
だが、やらなきゃならなかったことだ。
毎日「やらねば」「あぁ、出来んかった……」を繰り返すと、どんどん自分がいやになる。
「どうせ俺なんかもうダメなんだよ……」と腐る。
「自転車手放しちまおうか……」と気弱になる。
弱ってるよ、俺。たしかに弱ってる。軽うつだし、睡眠ガタついてる。
だからやらなきゃならなかった。
「やった、出来た」って、自分を認めてやるために。こんな些細なことでも良いから『長期にわたった懸案を解決した』って事実が重要だった。
多分、以前みたく毎日決まった時間に走りに出て、40km走ってくるとか、そういうことは困難だと思う。いきなり40は走らんにしろ、毎日出るってのは難しいだろうな。
んでも、やれる限りはやりてえと思う。
俺、やっぱし自転車すきだわ。
あすは天気悪そうだし、無気力に過ごそう。どうせ4日分前倒しで使い込んだんだ、動こうと思ってもエンプティさ。
情けねえけど、これが現実なのよね。
それでも、たまには無理してみたくなるんだよ。
久々に満足な1日だった。今夜の発泡酒はさぞ旨かろう。
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