今回こそはヤバイ。
『軽躁でも人畜無害』を旨としてきた俺が、深夜、心ない言葉で嫁を泣かせた。
ついに人畜有害な軽躁患者になった訳だ。
しかも、書いても書いてもまとまらん、観念奔逸全開。何という絶望。
『32ｂ（ｒｙ』
Knock,Knock。
「はい」
「……失礼します」
「はい、禮人さん、ね」
着席。
「どうですか？」
「生きている価値がないと思うす」
ディスプレイ見てた医者、やおら向き直り。
「価値がない？」
「書くことしか人並みに出来ねえのに、あれもこれも手ぇ出して、なにひとつまともに形にならないんす。俺、軽躁とかって、書くだけで、それに集中出来てるんすよ。今までずっとそうだったんす。こんなとっ散らかったの初めてで、何かもうまともに書けないなら生きてる資格ないじゃんって」
いきなり涙出て来て、止まんなくなった。
あ……俺、ここまでしんどかったんだ。気が付いてなかった。
「書くって？」
「文章っす。人並みに出来るの、これっきゃないんすよ、俺」
「んー……それ、躁だね。うつはない？」
「すこしあると思うす」
「混ざってるんだね。んー、これまでにも何度もそういうことあったよね」
「うい。こーゆうの初めてすけど」
「うん、そうだねえ」
「それに……きのう、同居人にひでぇ台詞吐いて泣かせちまいました……躁でもうつでも人畜無害だったのに、有害になっちまったです……なんかもうヤバイ、生きてる意味がどこにあんのか判らんねえです」
「……文章、まとまらなくても、良いんじゃない？」
医者、そう言った。
書くのを休んでみようとか、いったんやめてみたら、とか言わんかった。
「まとまらなくても良いでしょう、今はもうそういう時期なんだから、無理にやろうとしなくても、そのうちちゃんと出来るようになるから。今が出来ないだけだから。躁が落ち着けば、また出来るようになるよ。だから思いついたものは全部書けば良いよ」
——不思議なもんで、医者にそう言われたら「あ、書き散らかしで良いのか」と思った。
それしか出来ねえんだから、書き散らかすっきゃねえんだな。
書くのやめたらマジで死ぬもんな。
医者も多分、俺のこだわりが「まともに書けねえ」とこにあるから、これ止めたらヤバイと判ったんだろう。
「処方、いつもと同じで出すね」
ん……どうしようもねえもんな。鉄板どころか鋼鉄の板どころか、もはやオリハルコン。
躁下げる薬はない。
「とにかく、落ち着いてね。必ず収まるから」
そうだな……そのうち、収まるんだよな。
それまで持ちこたえられれば。
きのう、ちょっと挑んでみたいことがあって、受診の前夜だってーのに飲みに出た。
前回、自分で思いつく限りの隠蔽工作をして受診したが、さて、俺が禁酒履歴の話で墓穴を掘ったのか、あるいは臭いを隠しきれなかったのか、主治医はにやりと笑って「お酒、やめましょうね」。
あれから2週間、ツッコミの原因が何だったのか、試そう。
ネットで消臭の方法を徹底的にチェック。
スポーツドリンクと水を飲む。飲んでアルコールを代謝・排泄。
そして林檎。ポリフェノールがどうとかで消臭効果があるらしい。
さらに、シャワーは浴びられんかったんで、お湯で絞ったタオルで入念に体を拭いた。
しっかり試して受診。
だが、考えてみたら受診内容がDEEP過ぎて、消臭云々のレベルではなかった。
しかも、頻繁に目が覚めて水分摂って便所に行って——を繰り返してたせいで、寝不足ハンパねえ。
結論：受診の前日は深酒するな
はい、当たり前の結論に至りました。
が、試してみねえと気が済まん。それが禮人クオリティ。
世間一般ではこれを『ばかもの』と称する。
つーか酒減らせよ。
ばかものは、これからハラミの処理をするのだ。
豚肉のハラミ。近所で時々売ってる。すげー食い応えがあるんだが、ここんちは下処理サボってて、膜ついたまんまなんだよ。
この膜が超丈夫。噛み切る噛み切らんの問題ではない。
ま、横隔膜部分の肉なんだから、膜固くてもしゃあねえけども。
で、俺は
「もし出来たら、処理しておいてくれると嬉しい」
と、出勤前の嫁に言われた。
ん、見事に心理学を応用してるな。それは人を動かす言い方ってやつだ。
『アイ・メッセージ』とかいうらしい。
○○だと私は悲しい、とか、○○だと嬉しいな、とかって手法だ。
判ってても「やっとこうかな」と思うあたり、俺はやはり、ばかものである。
だが、願わくば、シャレで済むばかものになりたいと思う。
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『軽躁でも人畜無害』を旨としてきた俺が、深夜、心ない言葉で嫁を泣かせた。
ついに人畜有害な軽躁患者になった訳だ。
しかも、書いても書いてもまとまらん、観念奔逸全開。何という絶望。
『32ｂ（ｒｙ』
Knock,Knock。
「はい」
「……失礼します」
「はい、禮人さん、ね」
着席。
「どうですか？」
「生きている価値がないと思うす」
ディスプレイ見てた医者、やおら向き直り。
「価値がない？」
「書くことしか人並みに出来ねえのに、あれもこれも手ぇ出して、なにひとつまともに形にならないんす。俺、軽躁とかって、書くだけで、それに集中出来てるんすよ。今までずっとそうだったんす。こんなとっ散らかったの初めてで、何かもうまともに書けないなら生きてる資格ないじゃんって」
いきなり涙出て来て、止まんなくなった。
あ……俺、ここまでしんどかったんだ。気が付いてなかった。
「書くって？」
「文章っす。人並みに出来るの、これっきゃないんすよ、俺」
「んー……それ、躁だね。うつはない？」
「すこしあると思うす」
「混ざってるんだね。んー、これまでにも何度もそういうことあったよね」
「うい。こーゆうの初めてすけど」
「うん、そうだねえ」
「それに……きのう、同居人にひでぇ台詞吐いて泣かせちまいました……躁でもうつでも人畜無害だったのに、有害になっちまったです……なんかもうヤバイ、生きてる意味がどこにあんのか判らんねえです」
「……文章、まとまらなくても、良いんじゃない？」
医者、そう言った。
書くのを休んでみようとか、いったんやめてみたら、とか言わんかった。
「まとまらなくても良いでしょう、今はもうそういう時期なんだから、無理にやろうとしなくても、そのうちちゃんと出来るようになるから。今が出来ないだけだから。躁が落ち着けば、また出来るようになるよ。だから思いついたものは全部書けば良いよ」
——不思議なもんで、医者にそう言われたら「あ、書き散らかしで良いのか」と思った。
それしか出来ねえんだから、書き散らかすっきゃねえんだな。
書くのやめたらマジで死ぬもんな。
医者も多分、俺のこだわりが「まともに書けねえ」とこにあるから、これ止めたらヤバイと判ったんだろう。
「処方、いつもと同じで出すね」
ん……どうしようもねえもんな。鉄板どころか鋼鉄の板どころか、もはやオリハルコン。
躁下げる薬はない。
「とにかく、落ち着いてね。必ず収まるから」
そうだな……そのうち、収まるんだよな。
それまで持ちこたえられれば。
本日の処方
ラミクタール100mg×3T/14day（朝1 夜2）
デパス0.5mg×1T/14T¥day（朝）
リーマス200mg×2T/14day（就寝前）
銀春0.25mg×1/14day（就寝前）
リボトリール0.5mg×2T/14day（就寝前）
早く落ち着きますよーに
きのう、ちょっと挑んでみたいことがあって、受診の前夜だってーのに飲みに出た。
前回、自分で思いつく限りの隠蔽工作をして受診したが、さて、俺が禁酒履歴の話で墓穴を掘ったのか、あるいは臭いを隠しきれなかったのか、主治医はにやりと笑って「お酒、やめましょうね」。
あれから2週間、ツッコミの原因が何だったのか、試そう。
ネットで消臭の方法を徹底的にチェック。
スポーツドリンクと水を飲む。飲んでアルコールを代謝・排泄。
そして林檎。ポリフェノールがどうとかで消臭効果があるらしい。
さらに、シャワーは浴びられんかったんで、お湯で絞ったタオルで入念に体を拭いた。
しっかり試して受診。
だが、考えてみたら受診内容がDEEP過ぎて、消臭云々のレベルではなかった。
しかも、頻繁に目が覚めて水分摂って便所に行って——を繰り返してたせいで、寝不足ハンパねえ。
結論：受診の前日は深酒するな
はい、当たり前の結論に至りました。
が、試してみねえと気が済まん。それが禮人クオリティ。
世間一般ではこれを『ばかもの』と称する。
つーか酒減らせよ。
ばかものは、これからハラミの処理をするのだ。
豚肉のハラミ。近所で時々売ってる。すげー食い応えがあるんだが、ここんちは下処理サボってて、膜ついたまんまなんだよ。
この膜が超丈夫。噛み切る噛み切らんの問題ではない。
ま、横隔膜部分の肉なんだから、膜固くてもしゃあねえけども。
で、俺は
「もし出来たら、処理しておいてくれると嬉しい」
と、出勤前の嫁に言われた。
ん、見事に心理学を応用してるな。それは人を動かす言い方ってやつだ。
『アイ・メッセージ』とかいうらしい。
○○だと私は悲しい、とか、○○だと嬉しいな、とかって手法だ。
判ってても「やっとこうかな」と思うあたり、俺はやはり、ばかものである。
だが、願わくば、シャレで済むばかものになりたいと思う。
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